
日本の地域特産品や伝統工芸品、食品、観光関連商品には、海外の消費者にとって魅力的なものが数多くあります。しかし、商品そのものに魅力があっても、ECサイトの商品ページが原因で購入をためらわれてしまう可能性があることをご存じでしょうか。
特に、英語圏の消費者を対象とする場合、日本語の商品ページをそのまま英語に翻訳するだけでは、商品の魅力や購入方法が十分に伝わらないことがあります。
この記事では、なぜ日本のECサイトの商品ページが英語ネイティブにとって買いにくいのかというテーマについて、よくある課題と改善策を解説します。インバウンド需要を活用した販売促進や越境ECの売上拡大を目指す観光事業者、地域の食品メーカー、伝統工芸品の生産者に向けて、海外向けECサイトを改善するためのポイントをご紹介します。
※本記事は、日本で活動するネイティブ英語話者Matthew(マシュー)の訪日経験や、外国人旅行者とのコミュニケーションを通じた視点・経験をもとに構成しています。
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日本語を英語に翻訳するだけでは商品の魅力が伝わらない
海外向けECサイトを運営する際、最初に取り組む施策の一つが商品ページの英語翻訳です。しかし、日本語の商品説明をそのまま英語に翻訳しても、英語圏の消費者にとって分かりやすく、購入したくなる商品ページになるとは限りません。
その理由は、単純な言語の違いだけでなく、商品の説明方法や情報の伝え方に対する期待が異なる場合があるからです。
例えば、日本の食品メーカーが地域の伝統的な調味料を販売するとします。
日本語の商品ページには、次のような説明が掲載されているかもしれません。
「創業以来受け継がれてきた伝統製法で、丹精込めて作り上げた逸品です。」
日本の消費者には自然に伝わる表現ですが、英語に直訳しただけでは、海外の購入者が具体的な価値を理解できない可能性があります。
- どのような原材料を使用しているのか
- 一般的な調味料と何が違うのか
- どのような料理に使えるのか
- 味や香りにどのような特徴があるのか
- なぜこの商品を選ぶべきなのか
海外の消費者に商品の魅力を伝えるには、商品の背景だけでなく、購入者にとっての具体的なメリットも説明する必要があります。
例えば、伝統製法について説明する場合も、製法の特徴や味への影響、料理での使い方などを具体的に紹介すると、商品の価値が伝わりやすくなります。
重要なのは、日本語の商品ページを英語に置き換えることではなく、英語圏の消費者が商品の価値を理解できるように情報を再構成することです。
2. 商品の特徴や使い方が具体的に説明されていない
日本の商品ページでは、商品の魅力を短い文章で表現したり、製造者のこだわりを中心に紹介したりすることがあります。
一方、海外向けの商品ページでは、購入者が商品を実際に使用する場面をイメージできる情報が重要になります。
例えば、地域の茶農家が日本茶を海外向けに販売する場合、商品ページに「香り高く、まろやかな味わい」と書くだけでは、購入者が自分の好みに合う商品なのか判断しにくいことがあります。
そのため、次のような情報を追加することが考えられます。
- 味や香り: 甘み、苦み、渋み、香りの特徴
- 飲み方: お湯の温度、抽出時間、茶葉の量
- おすすめの用途: 食事との組み合わせ、リラックスタイム、贈り物
- 商品の仕様: 内容量、包装形態、保存方法
- 生産背景: 産地、栽培方法、製造工程
伝統工芸品であれば、素材や製法だけでなく、サイズ、重量、お手入れ方法、日常生活での使用例なども役立ちます。
例えば、漆器を販売する場合は、見た目の美しさに加えて、どのように使用できるのか、どのようなお手入れが必要なのかを説明することで、購入前の不安を軽減できます。
もちろん、すべての商品に大量の説明文が必要なわけではありません。大切なのは、購入者が商品を選ぶために必要な情報を、適切な順序で分かりやすく提供することです。
3. 日本独特の表現や専門用語が理解しにくい
日本の商品ページには、海外の消費者にとって意味が伝わりにくい表現が含まれている場合があります。
例えば、食品や伝統工芸品では、次のような言葉がよく使われます。
- 伝統の味
- 職人の技
- こだわりの逸品
- 産地直送
- 期間限定
- 匠の技が生み出す品質
これらの表現は、日本では商品の価値や品質を伝えるために広く使われています。しかし、英語に直訳しただけでは、その言葉が持つ背景や価値が十分に伝わらないことがあります。
また、地域独自の食品名、伝統的な製法、工芸技術などは、英語圏の消費者が知らない可能性もあります。
例えば、地域の特産品に独自の名称がある場合、名称をローマ字で表記するだけでは、どのような商品なのか判断できないかもしれません。
そのような場合には、商品名を残しながら、英語で簡潔な説明を加える方法が有効です。
例えば、地域独自の発酵食品であれば、どのような原材料を使い、どのような味がし、どのように食べるのかを説明します。
さらに、日本独自の文化や歴史を紹介する場合も、単に背景を説明するだけでなく、購入者がその商品を使うことで何を体験できるのかを伝えることが重要です。
日本独自の魅力をなくす必要はありません。海外の消費者が理解できる言葉で、その魅力を説明することが大切です。
4.送料・配送日数・返品条件が分かりにくい
商品に興味を持っても、購入条件が分からなければ、消費者は購入をためらう可能性があります。
特に海外から商品を購入する場合、配送や返品に関する情報は重要です。
例えば、日本のECサイトで海外配送に対応していても、商品ページや購入手続きの中で、次のような情報が見つけにくいことがあります。
- 海外への発送に対応しているか
- 送料はいくらか
- 商品が届くまでにどのくらいかかるか
- 関税や輸入税が発生する可能性があるか
- 破損や不良品があった場合にどう対応してもらえるか
- 返品や交換が可能か
これらの情報が不明確だと、購入者は注文を完了する前にサイトを離れてしまうかもしれません。
また、海外配送では、発送先の国や地域によって配送条件が異なる場合があります。食品、化粧品、植物由来の商品などは、輸入規制や配送上の制限が関係することもあります。
そのため、海外向けECサイトでは、販売対象国ごとの配送条件や購入条件を整理し、英語で分かりやすく案内することが重要です。
すべての情報を商品ページに掲載する必要はありませんが、購入判断に直接関わる情報には簡単にアクセスできるようにしましょう。
英語の商品説明を充実させるだけでなく、購入前に生じる疑問を解消することも、越境ECの改善に欠かせません。
5. 購入手続きや問い合わせ方法が海外ユーザーにとって分かりにくい
商品ページの説明が分かりやすくても、購入手続きで問題が発生すれば、販売機会を逃してしまう可能性があります。
例えば、次のような問題が考えられます。
- 海外発行のクレジットカードが利用できるか分からない
- 日本国内の住所を前提とした入力フォームになっている
- 住所や電話番号の入力方法が分かりにくい
- 購入完了までの手順が複雑である
- エラーメッセージが日本語で表示される
- 問い合わせ先やサポート対応言語が分からない
こうした問題は、商品ページの翻訳だけでは解決できません。ECサイト全体の購入体験を確認する必要があります。
海外向けECサイトを改善する際には、商品を探す段階から注文完了まで、英語圏の利用者の視点で一連の流れを確認することが重要です。
具体的には、次のような項目をチェックするとよいでしょう。
- 英語で商品を検索し、目的の商品を見つけられるか
- 商品の特徴、価格、サイズ、内容量などを理解できるか
- 送料や配送条件を確認できるか
- 海外の住所を入力し、利用可能な決済方法で注文できるか
- 注文完了後の案内や問い合わせ方法が分かるか
可能であれば、英語ネイティブの利用者に実際にサイトを操作してもらい、どこで迷うのか、どの情報が不足しているのかを確認することも有効です。
サイト運営者が普段問題なく使えているECサイトでも、海外の利用者にとっては分かりにくい部分があるかもしれません。

英語ネイティブの視点でECサイトを見直すメリット
ここまで紹介した課題に共通するのは、運営者が伝えたい情報と、購入者が知りたい情報が必ずしも一致していないという点です。
日本の商品ページを改善する際には、文法的に正しい英語を使うだけでなく、英語圏の消費者がどのように商品を理解し、購入を判断するのかという視点が役立ちます。
例えば、英語ネイティブの視点で確認することで、次のような点に気づける可能性があります。
- 英語としては正しくても、不自然に感じられる商品説明
- 商品の魅力が具体的に伝わっていない箇所
- 購入判断に必要な情報が不足している部分
- 商品カテゴリーや専門用語の説明が必要な箇所
- 購入手続きの途中で不安を感じるポイント
ただし、英語ネイティブであれば誰でも海外ECに詳しいとは限りません。商品を魅力的に紹介する文章力に加え、対象市場への理解、ECサイトの使いやすさ、購入者の行動などを考慮することが大切です。
また、英語圏といっても、米国、英国、オーストラリアなどでは、表現、期待される情報、配送条件、消費者の購買行動が異なる場合があります。すべての国の消費者が同じ考え方をするわけではありません。
そのため、販売したい国や地域を明確にしたうえで、商品ページや購入フローを見直すことをおすすめします。
海外向けECサイトを改善するために、まず取り組みたいこと
海外向けECサイトの改善は、サイト全体を一度に作り直すことから始める必要はありません。
まずは、購入者が商品を理解し、安心して購入できるかという観点から、優先度の高い項目を確認しましょう。
商品ページの改善チェックリスト
商品の特徴や購入するメリットが英語で具体的に説明されている
商品のサイズ、重量、内容量などが明確に記載されている
使い方やお手入れ方法が分かりやすい
日本独自の文化や専門用語に必要な説明がある
送料、配送日数、返品条件が確認できる
商品画像からサイズ感や使用方法をイメージできる
海外の住所や決済方法に対応している
問い合わせ方法やサポート対応言語が明確である
すべての項目を一度に改善できなくても、まずは主力商品や海外からのアクセスが多い商品から着手する方法があります。
また、アクセス解析や購入データを活用し、商品ページの閲覧数、カートへの追加数、購入完了率などを確認すると、どの段階に課題があるのかを把握しやすくなります。
例えば、商品ページへのアクセスが多いにもかかわらず購入につながっていない場合、商品説明、価格、送料、決済方法など、複数の要因を検証する必要があります。
なお、購入率の低さだけで翻訳の問題と断定することはできません。商品の需要、価格競争力、広告のターゲティング、在庫状況なども含めて分析することが大切です。

地域特産品や日本製品の海外販売を、英語の視点からサポート
日本には、海外の消費者に紹介する価値のある地域特産品、食品、伝統工芸品、観光関連商品が数多くあります。
しかし、その魅力を海外に届けるには、商品そのものの品質だけでなく、商品情報の伝え方や購入しやすいECサイトの設計も重要です。
hamon inc.では、英語をはじめとする多言語での情報発信や、海外向けのプロモーション・販売支援に取り組んでいます。
海外向けECサイトの商品ページについても、単なる翻訳にとどまらず、商品の魅力が伝わる英語表現や、海外の購入者にとって分かりやすい情報設計という観点から改善を検討することが重要です。
例えば、次のような課題をお持ちの事業者様は、商品ページやECサイトの見直しを検討してみてはいかがでしょうか。
- 自社の日本製品を海外向けに販売したい
- 地域の特産品を越境ECで広く紹介したい
- 英語の商品ページを作成したが、購入につながらない
- 既存の英語翻訳が自然かどうか確認したい
- 海外向けの商品説明や販売戦略を改善したい
- インバウンド需要を活用して、帰国後の継続購入につなげたい
海外向けECサイトの改善は、商品を英語で紹介することだけではなく、海外の購入者が商品の価値を理解し、安心して購入できる環境を整えることです。
hamon inc.では、事業者様の商品や販売対象市場に応じて、海外向けの情報発信やEC関連施策についてご相談いただけます。
日本の商品や地域の魅力を海外の消費者に届けたいとお考えの事業者様は、ぜひお問い合わせください。
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